特集
 
 
特 集 妙 高 寮

妙高寮について思うこと
株式会社「泰山会」社長  松林忠利(1竹A)
 
 

 妙高教育研究所(妙高寮)は、附高創立10周年(昭和39年)の記念事業として企画され、昭和42年10月に落成しました。この校外施設実現にあたっては、当時の先生方の並々ならぬ情熱と、それにも増して熱心な保護者の方々の協力があったことは、建設以来30数年を経た今日まで語り草となっています。妙高寮の目的は「学校教育だけでは果たしえない面を校外施設の活用によって達成し、さらに学校教育そのものを盛りたてていく」というところにあり、落成年の14期生の冬季スキー学校を皮切りに、夏の妙高登山、クラブ(バスケット、バレーボール、サッカー、バドミントン、弓道、演劇、卓球、剣道、音楽、美術)の合宿、春秋の保護者懇親旅行など、様々な校外活動に利用されてきました。学校創立40周年記念誌『四十年の歩み』に、当時校長であられた榊原雄太郎先生は次のように書いておられます。

 
 「…校外での学習が学校教育にとって如何に大切であるかということについてしみじみ思うようになりました。私は恩師から『学問無き経験は、経験無き学問に勝る』という格言を聞いておりました。本物や実物を一つでも経験しておくこと、この経験が長期記憶に入って、本当の力になり、それ以後の教室の中や書物での勉強の助けとなっていくものです。」

 
 今日の教育環境を考える時、妙高寮の存在と意義は誠に大きいと思います。妙高寮を守ることは後輩を応援すること、同窓生の一員として出来る限りの支援を続けたいと思います。最後に妙高寮に掲げられている「宣言」を書き添えておきます。


 「当教育研究所は教育的諸行事の実施のために設立されたものである。この施設はもちろんのこと、これをとりまく環境や周辺の自然さらに町村などはこのためのたいせつな教育施設といえる。そこでわれわれはこの恵まれた環境を将来にわたって完全に維持していくよう全員が協力しよう。――妙高教育研究所」

   
 

歓喜の手すり

吉田研介(1世A)


 「妙高寮の設計は私にやらせて下さい」と自分から名乗り出て、実際に設計させてもらうことになった話は、高校の「創立三十周年記念誌」に書いているので、もうひとつ、今でも熱くなる思い出を書こうと思います。

 それは「妙高寮」の食堂の正面にある階段の手すりのことです。あれは上に向かって開いたデザインになっていますが、生徒たちに「これは泰山木を表している」と説明されていることをずっと後になって知りました。もしかしたら完成した時に私がそう言ったのかも知れませんが、半分は本当で、もう半分は今までずっと言わなかった裏の「意味」があるのです。

 実は、第一回の打ち合わせで学校に呼ばれた日、まったく予期しなかった、夢にも思わなかったことが起こったのです。なんとYさんをチラッと見かけたのです。勿論声は掛けられませんでした。一度も話をしたことがなかったからです。中学校以来十数年ぶりに会ったのです、いや見たのです。整った目鼻立ちに冷たいほどの知性的な表情は相変わらずでした。そしてなんとなく憂いが漂っているのも昔のままでした。それは2秒の横顔でしたが、十数年前のあらゆることが思い出されて、歓喜がこみ上げてきたのです。家に帰って早速製図板に向かい、その歓びをあの手すりに表したのでした。

 「近代建築」というものは機能や合理を第一義として設計されてきましたが、当時、その人間の情を排除した作り方に若い建築家の間からそろそろ批判が出始めていて、私も機能主義や合理主義一点張りでつくられる建築には疑問を持ち始めていたのです。「月光の曲」だって「モナリザ」だって、作者の“思い”があってこそ傑作が生まれたのではないか。私は単なる技術者としての建築家ではなく、情感を込めることができる建築家になりたいと思っていました。だから、その歓びを抑えることなく思いっきり表現しようと思ったのです。あそこを訪れる後輩にそれが通じると嬉しいのですが。

 何年か経って「寮」に行ってみる機会がありました。ポスターやお知らせの紙がいろいろと貼ってあって、完成した時にある方が「教会のようですね」と言って下さった雰囲気は残念ながら減少していましたが、それに負けることなく若さのみなぎった歓喜の手すりは、自分でもまぶしいほどエネルギーを感じるデザインだと思いました。

 
   
 

春秋の親睦旅行

妙高施設委員長  宮城政昭(附高教諭)


 附属高校同窓生の皆様こんにちは。今回、泰山木の編集の方から依頼され、妙高教育研究所の特集の中で、毎年2回行われている妙高親睦旅行について紹介することになりました。実は私が赴任した当時(もう18年くらい前になります)は、冬の親睦旅行というスキーを楽しむ旅行も春休みにやっていました。つまり、3回の親睦旅行をやっていたわけで、附属高校は本当に沢山の保護者の方々の支援のもとに、素晴しい校外施設を持って教育しているものだと感心すると同時に、妙高寮を作った当時の方々のエネルギーの凄さに感動し、その伝統を受け継ぐ重さを実感していました。

 さて、妙高親睦旅行は、附属高校の根幹をなす林間学校、クラブ合宿、スキー教室などの教育活動に利用される妙高教育研究所(通称:妙高寮)の視察を目的とし、さらに保護者の方々や教職員相互の交流や親睦の場として実施されてきました。そのため、例年、春は妙高寮を見学しようという1年の保護者の方の参加が多く、秋は3年間の別れを惜しんで3年の保護者の方の参加が増えます。中には3年間で6回参加をされる方もいらっしゃいます。旅行の初日は、長野周辺や戸隠付近を見学し、夜は妙高寮で宿泊します。皆さんが林間学校で泊まった同じベッドで保護者の方も宿泊になります。夜は、親睦会が実施されますが、現地でお世話になっている方々も交えて夜遅くまで話がはずみます。日頃、忙しい毎日を送られている保護者の方々も、ゆったりした時間の流れの中で教育談義に花を咲かせます。さらに、春は山菜、秋は茸を中心とした山の幸と地元のお酒が親睦会を盛り上げます。中には、親子2代で妙高寮を利用した方もいて、「同じように妙高山に苦労して登った話などから、親子の距離をさらに近く感じた」という話を伺ったり、「子供が林間から帰って頼もしくなった」などの話を伺うと、この場所で長く続けてきたことの意味深さを実感し、今までの積み重ねが正しかったとホッとさせられます。同窓生の皆さんもおそらく1年の林間学校での思い出には事欠かないのではないでしょうか。

 2日目の見学は、男性の保護者の方や我々は眠い目を擦りながらのスタートですが、お母さん方は朝からシャキッとしています。いつも朝早くから子供達を送りだすパワーはさすがです。6回毎回参加してもコースが重ならないように準備した見学コースの中から、満足いただけるように設定するのが裏方の役目。現在妙高施設委員6名でその準備に当たっています。最近では、そば打ち体験や長野オリンピックの会場となった白馬のジャンプ台めぐりなどが人気でした。ことにジャンプ台では船木選手などが実際にジャンプする姿も見学でき、オリンピックでの感動を蘇らせてもらいました。

 妙高施設委員会は、親睦旅行の準備などを通して附属高校の教育方針を保護者の方々に理解してもらう機会をつくるばかりでなく、30年以上たった妙高寮でいつも快適に過ごせるような環境作りに努めています。

 

 
   
 

成城大学弓道部合宿


成城大学体育会弓道部平成13年度主将  河邉聡司

 夜空に輝く無数の星達、遠くから聞こえてくる鳥の鳴き声、虫達の音色。そんな妙高の大自然は騒がしい生活を送っている私達の心を癒してくれます。普段、私達の心を乱すような雑音もなく、新たな気持ちで自分を見つめ直し、気持ちにゆとりをもたせることもできるでしょう。

 私達成城大学弓道部は交流のある学芸大学附属高校とのご縁で毎年夏にこちらの施設を利用させてもらっています。いつもと違う環境の中での練習は、普段気付かないことを気付かせてくれます。道場の設備のすばらしさもさることながら澄んだ空気の中で弓を引く時の気分は格別です。また、なかなか思い通りにならない時でも、空を見上げて深呼吸をすると、あきらめずに頑張ろうと前向きな気持ちになれるのです。こんな風に練習に打ち込むことができる場所は、妙高のほかにないのではないでしょうか。

 夜になると、合宿のもう一つの楽しみでもある自由時間です。仲間と飲んで語り合うもよし、先生や合宿所の管理をしてくださっている加藤さんとお話ししたりとお互いをより理解し合うのによい機会となります。合宿でのエピソードといえば加藤さんとの話しがたくさんあります。加藤さんの作る、こちらの名産品である青唐辛子を使った料理はたいへんからく、いつも部員達は目を白黒させながら食べています。形状がピーマンに似ているため、これを我部では加藤さんのピーマンといってこわいものみたさで毎年挑戦しています。みなさんも来たときには挑戦してみてはどうでしょうか。思わず涙を流す程の辛さに病みつきになるかもしれません。

 最後になりましたが、弓道は非常にメンタルなスポーツです。技術を習得するのももちろん大事ですが、それ以上に精神的な要素を養うことも大事です。妙高での合宿1週間で、私達は先生方に直接指導して頂き技術的に大きな進歩を遂げます。しかしそれ以上に道場の練習以外の団体生活の中で「何か」を掴んで東京に帰って行きます。弓道を通じて人間的に一回りも二回りも大きくなって帰って行きます。そうやって成長することができるのは合宿所が妙高だからに他なりません。そういった意味で妙高は最高の合宿所ではないでしょうか。


吉田レイ先生から  

成城大学弓道部はここ数年、夏は妙高寮、春は山梨県石和で合宿を行っています。夏の妙高寮は8月下旬で附属高校の行事がすべて終わり成城大のみとなりますので、学生達は自分達の寮のような気安さで過ごさせて頂いております。私も附高弓道部の合宿指導のあと、引き続いて成城大を迎え、半月は妙高で避暑生活をさせて頂いております。